今までで合計4年半ぐらい海外をブラブラしているが、幸運なことに、ほっとんど危険な目にあっていない。
危険そうな国・場所に全然行ってないってのもあるとは思うけど、人によっては治安の良いタイであっても悲惨な目にあう人だっているだろうから、非常にラッキーだなと常々感じている。
けれど、たった一度だけ盗難の被害にあったことがある。
今回はそんな話。

ベトナムにニャチャンという街がある。
それなりなビーチが広がる、ちょっとしたリゾート的な街だ。

・・・とは言っても、そんな大したビーチリゾートという訳ではない。
もしハワイやグアムやゴールドコーストなどを思い描いてニャチャンを訪れたとしたら、100%ガッカリするだろう。
海の透明度だって高い訳じゃないし。沖縄とかの方が断然キレイ。
でも、貧乏バックパッカー旅をしてたらお高いビーチリゾートなんて行ける機会なんてまず無いので、これぐらいが丁度いいのだ。

その日は天気があまり良くなくて曇り空だったけど、長い時間泳ぐわけじゃないしまいっかと思って宿を出た。
目的は泳ぐことじゃなくて、ダラダラと伸びてしまったヒゲをビーチでのんびり整えることにあった。
手鏡と眉毛などを整える為の小さなハサミといくらかのお金をビニール袋に入れて、Tシャツに海パンにビーサンでぶらぶら歩いてビーチへ。
ビーチへは15分ぐらい歩く。ビーチの前にはビーチに沿うようにして車通りの激しい道路がある。

ビーチに着くと、全然他に人がいない。
こりゃいいやと思って適当に砂の上に座って鏡を見ながらハサミでヒゲを切り落とし始めた。
右側半分ぐらいが切り終わった時に、突然雨が降ってきた。
うわ、やっべえと思って近くの変な形した建物へ走り、雨宿りした。
少し肌寒い。
できればもう帰りたい。
けど、いま自分の顔の右半分のヒゲは短いが、左半分のヒゲはまだわさわさと長いままだ。
このままではいくら知り合いなどいない異国の地とはいえさすがに街を歩いては帰れない。
雨宿りしながら残りの左半分のヒゲも短くした。

ヒゲのカットが終わった頃ちょうど雨も止んだので、ビニール袋に手鏡やハサミ、それから脱いだTシャツを入れ、波打ち際に置いておき、軽く海を泳ぐことにした。
波はまぁまぁ強かった。適当に平泳ぎとかしながら遊んでいた。
情けないことに、私はほとんど泳げない。
それになりより、海が怖い。
旅しながら時々海に入ったりするものの、常に足が届く範囲でしか泳がない。
足が届かないと分かった途端に一気に不安の波が押し寄せてくるのだ。
なので砂浜からはあまり離れていなかった。

いつものようにパチャパチャと気ままに平泳ぎしていると、ふいに視界の端っこに二人乗りの原付バイクが飛び込んできた。えっ!?波打ち際に原付バイク!?

バッと振り返ると、砂浜に二人乗りの原付バイクが走ってきていて、私の荷物が入ったビニール袋の近くに来た瞬間に後ろに乗ってた若い男がバイクから飛び降り、サッとビニール袋を盗ってまたバイクに飛び乗り、走り出した。

あまりに突然の、一瞬の出来事で、慌てて追いかけようとしたが首から下は海中だったのでうまく進むことができない。

砂浜に戻った時には既にバイクは通りの中に消えていた。

悔しさと怒りに呆然と立ちすくむ。

しかも、まるで映画かドラマなんかで意気消沈した登場人物に追い打ちをかける演出のように、また雨が降ってきた。

上半身裸のまま雨に打たれながら宿へ歩いて帰った。
半裸でずぶ濡れで、しかも数時間前まであったヒゲがなくなってる日本人を見て、宿のベトナム人女性はビックリしていた。
若い二人がバイクで俺の荷物盗んでいきやがってよームカつくぜー!とつい興奮気味に怒ってしまったが、悪いのは盗んだ二人組であって宿の女性ではないのでそそくさと部屋に戻った。

あぁくそっ、俺の手鏡とハサミとTシャツと現金3万ドンが盗られたぜちくしょー!

・・・などと怒りはしたが、Tシャツはマレーシアでカナダ人にもらったものだったし、3万ドンは日本円に換算したらおよそ150円だ。
正直、被害はとっても小さいのだった。

でも盗難にあったのは事実だ。悔しい。負けてられない。

次の日、またビニール袋を手にビーチへと向かった。
そして同じようにビニール袋を砂浜に置いて、海を泳いだ。

ビニール袋の中に入っているのは昨日食べたお菓子のゴミだけだ。

フフフフ、昨日みたいに盗りにきやがれ!ゴミをつかませてやっからよ!

今回は砂浜から少し離れたところで泳いで、敢えてスキだらけにしていた。
なぜかこの時は足がつかなくても怖くなかった。
むしろまた原付バイクの二人組が来るのが楽しみでしょうがなくてウキウキしていた。

・・・と、そこにビーチの清掃係のおじいさんが来て、袋の中をチラっと確認した後、そのままトングで挟んでゴミ袋にポイっと回収していってしまったではないか!

ぐううぅ、俺の小さな仕返しは失敗に終わった・・・。2連敗・・・。残念だ。

皆さんも一人でビーチに行って泳ぐ時は盗難に気をつけよう。
間違っても財布丸ごと持って行くことはやめたほうがいい。お金を持ち歩くなら、帰り道に水かお菓子を買う分の少額のお金だけにし、ホテルの鍵も出来れば宿の人に預けておく方がよいだろう。
荷物をビニール袋などで持っていった場合、砂浜をちょっと掘ってその中にビニール袋ごと埋めてしまうのもアリ。
一応、後で自分が埋めた場所がわからなくなるのを防ぐためにビーサンを目印にしておこう。

そんなこんなで、ベトナムで盗難被害にあったのです(被害小さ過ぎ)。
フランスも中国もアメリカさえも追い払ったベトナムに、しがない甲斐性なしの貧乏人の私が敵うはずがなかった(比較にならん)。


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2件のコメント

  1. こんにちは。ブログランキングからきました。被害少なくてよかったですね。パスポートだったら大変なところです。パスポートの盗難に会った人に聞きましたが、対処がたいへんだったそうです。無事に旅してください。

    1. →つーちゃんさん
      コメントありがとうございます。うわ、パスポートは悲惨ですよねー。でも他人のパスポートなんて盗って何に使うんでしょうねぇ。自分はまだ笑って話せる程度で済んで良かったです。つーちゃんさんも、無事に旅してください。

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