前回の簡単なあらすじ。
インドネシアのカリマンタン島の東に位置する、タラカンという小さな島からバリ島を目指し大きな旅客船で南下していた。
一番安いチケットで、部屋は大きな相部屋で、室温はめちゃくちゃ蒸し暑く、これで2泊3日の行程だなんて耐えられそうにない。
・・・と思ってたけど、インドネシア人達とすっかり打ち解けて、少し英語が話せる17歳の女の子にインドネシア語を教えてもらい、何だか楽しくなってきてしまった。

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インドネシアで船旅 その1<うっかりインドネシア語を学ぶ>


今回は、船の中の設備と、船の中で会ったインドネシアの人達についてご紹介します。

寝る場所については前回の記事で紹介したように、畳一畳分ぐらいのスペースが与えられるだけ。
隣の人との区切りも何もない。最初はクッションすらない。お金を払って長細いクッションを借りて寝る。

食事について。
食事は乗船時に弁当の引換券をもらえるので、ご飯の時間になったら配給所に並んで券と引き換えて弁当をもらう。
弁当は写真には撮ってないけど、インドネシアも主食はお米だし不満なく食べれた。
値段の高い個室とかをブッキングした場合はもしかしたらもっといいご飯が食べれたかも。

トイレについて。
トイレは、正直かなり汚なかった。
清潔なトイレに慣れている日本人はたぶん第一印象で「うわ、マジありえん。」と思うだろう。
これも写真は撮ってないので口頭で説明すると、まず男女別になっていない。便器は和式風だけど、金隠しはない。
個室の天井からはシャワー用のパイプがあって、トイレ兼シャワールームになっていた。そういった個室が6個ぐらい並んでいた。
手洗い場の排水管は既に取れてなくなっていて、手を洗った後の水は代わりに下に置いてあったバケツにだばだば落ちて溜まっていくだけだった。
バケツの中にはゴミや使用済みのナプキンが捨てられていた。

壁や床や窓にはあまり見た事の無い小さな黒い虫がそこら中にいた。
最初はうわっと思ったけど、ゴキブリとかじゃなかったし(ゴキブリもたくさんいたと思うけど)、刺したりもしないし無害だったのであんまり気にしないようにしていた。

空調は無いに等しく、部屋のどこにいても暑くて、息をしてるだけで汗をかいた。
外のデッキにはちょっとした売店と休憩所と礼拝の為の部屋があった。
イスラム教の人達は一日に5回程聖地メッカに向かってお祈りをするのだ。


デッキでは風があるのが良いのだが、すぐ近くに排気用のタワーがあって排気が流れてくるため、汚れてほんのり熱を持った空気が流れてきてあまり心地よくなかった。
そしてどこに行っても人がいる。階段の踊り場にもデッキに続く通路にも乗客が立ち話とかしてて、一人でホッとできる場所がどこにもなかった。

・・・とまぁ、お世辞にも快適な船旅とは言い難かった。
でも。でもいま思い返すと楽しかった記憶しか無い。
それはやはりインドネシアの人達がみんな人懐っこくて良い人達ばかりだったから。
外国人観光客なんて滅多に来ない土地柄だったのもあると思うけど、外国人に対して興味津々でスレてなかったのでこちらも安心して接する事ができた。

前回も触れたように、インドネシア語を少し教わって挨拶ぐらいはできるようになったのもあって、船の中を歩き回ると次から次へと話しかけられ、自然と私のインドネシア語が上達していった。
野口英世は初めて中国に渡る時に、行きの船の中で中国語を覚えたと言われているが、それに近い体験ができた。

こちらの写真の真ん中の女の子が、私にインドネシア語を教えてくれた当時17歳のイガちゃん。現在は夢を叶えて看護師になり、既に結婚して幸せな生活を送っています。

同じ部屋で仲良くなったヤローども。
左下のキャップ被ったオシャレな若者はイガのお兄さんでアリくん。
右上の奴は名前はわかんないけど、やたらにノリが軽いやつで、ちょっとうっとおしいぐらいに馴れ馴れしかった。
どれくらい馴れ馴れしかったかというと、みんなが私のバックパックの中身に興味津々で私が何を持っているのかいくつか見せていた時に、T字のヒゲソリがあったんだけど、そのヒゲソリを何のことわりも無くトイレに持っていきヒゲを剃って剃り味を試してきたぐらい。
フツーそんなん勝手にやるぅ?もう。まぁ別にいいんだどさぁ。

こちらの人達はもっと東の出身の人達らしく、どっちかというとパプアニューギニアの人達に近い顔立ちをしている。
左の人が変な格好で座っているのは、私がヨガのポーズをしてみせたらみんなこぞってマネしてポーズを取り始めたから。

そんな感じで、2泊3日の船旅は無事に楽しく過ぎて行き、目的地のバリパパンという街に着いて船を降りる時が来た。
イガの家族の皆さんをはじめ、船の中で知り合ったインドネシア人の人達にはとてもお世話になった。

タリマカシバーニャ(どうもありがとう)。

しかもイガの家族からぜひうちの家に遊びに来てくれと招待していただいた。
イガの家族はスラウェシ島のパレパレという街に住んでいるそうで、もし本当に訪れるのであればこれから降りる街からはまた船で海を渡ることになる。
バリパパンには数日だけ滞在してすぐ移動するつもりだったし、こちらこそ是非お邪魔しにいく旨を伝え、私は船を降りた。

船から降りた時、港は家族・友人などを待つたくさんの人達でごった返していた。
みんな誰かを待っているのだな。
既に日は暮れていて、まだ空気には蒸し暑さが残ったまま。
私の体内にはまだ人の温かみに触れた感触が残ったまま。
こういう時に見る夕焼けがいつもよりキレイに見えるのはただの偶然なのだろうか。
あー、なんていうか、旅してるって感じがする。

・・・と旅情に浸っていたのも束の間、この後私は見知らぬ土地の闇夜をひたすらさまよい歩き、ゲイの痴漢に遭い、ちょっとだけウンコを漏らし、かなり悲惨な状態で朝を迎えることになるんだけど、この時はそんなこと予想だにしていなかった・・・。
まぁでもそれはまた別の機会の「旅の一コマ」で。


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